総合案内 Message

メッセージ

食物栄養科学部長 芦田均 教授
食物栄養科学部長 芦田均 教授

食と栄養のプロフェッショナルの育成を目指す食物栄養科学部

日本は超高齢社会を迎えて老齢年令の人口が増加してきています。これとは逆に出生率の低下による若年層人口が減少してきています。全体を見ると、日本の人口は2010年にピークを迎えてから減少が続いており、世界的な人口爆発と逆の方向に向かっています。この人口構成の変化は産業構造の変化をもたらしています。最近のコメ不足と価格高騰問題で判るように、一次産業従事者の高齢化に伴う減少は、農産物や水産物の供給が難しくなってきています。世界では食糧危機が問題となっている中で、日本の都市部にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどが多くあり、気軽に食料を入手できますが、食料自給率は先進国に中で最低水準の38%です。一方で、家庭や事業者からの食料廃棄、すなわちフードロスが社会問題になっています。また、食生活の変化により西欧食が普及し、糖質の消費量の減少と脂質からのエネルギー摂取量の増加が原因となり、生活習慣病が増えてきています。さらに、医学の進歩に伴い平均寿命は延びて来ていますが、日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間を表す健康寿命との差がさほど縮まっていません。このように、「食」は「健康」と密接に関わっています。したがって、健康維持と健全な食生活を行うために、より専門的な知識や高いスキルを持つ「食の担い手」の人材育成は喫緊の課題です。

本学の食物栄養科学部は、食物栄養学科と食創造科学科から構成されています。この食物栄養科学部では、本学の立学時からの精神を受け継ぎ、「高い知性と善美な情操と高雅な特性を兼ね備え、さらに人々の健康と豊かな食生活を支援する有為な人材を育成する」ことを目指しています。日本は世界に先駆けて食品機能に関する大規模研究事業が展開されるとともに、世界で最初に特定保健用食品、栄養機能食品、ならびに機能性表示食品を創出して、食による健康維持の基盤を構築してきました。すなわち、日本は食品機能や栄養機能の分野では世界のトップランナーです。食物栄養学科では、医療や疾病予防の領域で栄養学・栄養科学の観点から人々の健康寿命延伸を使命とした管理栄養士の育成を目指しています。一方で、食創造科学科は産業界と協働で食産業界を支えるため、食品機能学・栄養学の専門知識を有し、製造・生産から企画力・食のブランド力まで手がけるプロフェッショナルとなり得る高度職業専門人の育成を目指しています。

武庫川女子大学では、従来からの特徴であるきめ細かい学生への教育に加えて、研究力の強化を目指しています。つまり、研究成果に基づいた教育の実施が求められてきています。上述のように世界トップレベルの食品機能や栄養機能だけでなく、最近増えている激甚災害時に被災者に対する災害栄養や今後の宇宙時代を見据えた宇宙栄養などの分野での研究とそれに基づいた教育が求められています。このような新たな高度の分野で活躍するには、学部卒業度大学院に進学して修士課程・博士課程でさらなる学びと研究を行うことが望まれます。日本有数の規模を誇る武庫川女子大学の食物栄養科学部で学び、世界に羽ばたける人材となり得る学生を求めています。